『黒岩メダカに私の可愛いが通じない11巻』は、10巻から続いたクリスマスデートの後半と、年末の女子ズだけのお泊まり会が並ぶ巻でした。前半では川井モナと黒岩メダカの距離が少しだけ動き、後半では湘南旭や難波朋を含めたヒロイン同士の空気がやわらかく見えます。恋の勝負の熱と、年末らしいゆるさの両方を味わえる11巻でした。ネタバレありで感想を書きます。
あらすじ
クリスマスデート、残るプランはあと一つ…!
“好きなものづくし”なことに気づいたメダカが、驚き発言!?
そして年末、女子ズだけのお泊まり会、開催!!
お風呂にパジャマに罰ゲーム! で大盛り上がり!!
アマゾンから抜粋
10巻ではメダカがクリスマスに誰と過ごすかを考えるところと、モナとの夜道までが描かれました。11巻はその続きで、モナとのクリスマスデートの締めがまず来ます。さらに年末へ移って、旭や朋も交えた女子だけのお泊まり会が入り、恋の争いだけでなくヒロイン同士の関係も見やすくなる構成でした。
メダカがようやく言葉で返したから、モナの頑張りが報われる
クリスマスデートでいちばん良かったのは、メダカがモナの準備にちゃんと気づくところです。モナはただ浮かれているだけではなく、相手に楽しんでほしくてプランを考えていました。好きなものを並べたコースだとメダカが気づいたことで、モナの空回り気味だった努力がようやく報われます。

この作品のメダカは、気持ちがないから距離を取っているわけではなく、寺の息子としての戒律を背負って止まっている男です。だから11巻で彼が説明するのは、恋愛の返事そのものというより、自分がなぜ踏み込めないのかを相手に伝える行為でした。モナからすると待たされた形ですが、それでも誤魔化さず話したことで、二人の関係は前よりずっと対等になったように見えます。

しかもメダカが楽しかったと返すのが大きいです。ここまでのモナは、かわいさで押しても通じない、頑張っても空振りする、という負け方を何度もしてきました。11巻ではその努力に対してありがとうと楽しかったが返ってくるので、派手な告白成功ではなくても十分うれしい進展でした。モナが顔に出るくらい喜ぶのも自然です。
クリスマスの決着でも、旭と朋が消えないのがこの作品らしい
モナが選ばれたからといって、旭と朋の恋がそこで止まるわけではありません。11巻は一人の勝ち抜けで終わるのではなく、三人が同時に走っている状態を保ったまま次へつなぎます。ここがこの作品のラブコメとしてのうまさで、モナの一歩前進を見せつつ、ほかの二人の存在感もちゃんと残します。

旭はまっすぐ前に出る強さがあり、朋は不器用でも誠実に近づこうとするタイプです。11巻ではモナのクリスマスが描かれるぶん、二人は前面には出すぎません。それでも、ライバルがいるからこそモナのうれしさも際立ちますし、メダカが誰か一人にだけ簡単に傾かない構図も守られています。三人の差が消えずに残るから、次の巻も気になります。
女子だけのお泊まり会で、恋敵同士の空気が少しやわらかくなる
後半の女子ズだけのお泊まり会は、クリスマス編の緊張をゆるめる役割がかなり大きいです。お風呂、パジャマ、罰ゲームと、やっていること自体は軽いのに、ここまで積み上がった関係があるからちゃんと面白い。モナ、旭、朋が同じ場で騒げることで、恋敵でありながら友達でもあるこの作品の空気がよく出ています。

ここでは勝ち負けをはっきり決めるより、ヒロインたちの素の反応を見るのが楽しいです。学校やデートの場面だとどうしてもメダカ中心に回りますが、お泊まり会では女の子同士だけのテンポになります。モナの見栄っ張りも、旭の明るさも、朋の落ち着きも、恋の争いから少し離したぶん見やすいです。年末の締めとしてかなりちょうどいい息抜きでした。
11巻は大事件より、関係が少し良くなる感じを丁寧に読む巻
11巻は、告白が決着するとか新しい勝敗がつくとか、そういう大きな巻ではありません。その代わり、モナとメダカの距離が少し良くなることと、ヒロイン同士の空気が張りつめすぎないことを丁寧に見せています。ここを雑に飛ばさないから、後の巻でまた恋が動いた時にちゃんと積み重なって見えるのだと思います。
クリスマスの特別感で甘さを出しつつ、そのまま年末のゆるい女子会へ流す構成も好きでした。モナの頑張りが届いた手応えと、まだ恋は終わっていないという余白が両方あるので、読後感がやさしいです。11巻は派手な山場だけで押すより、メダかわの空気をじっくり味わいたい人に合う巻でした。
まとめ
『黒岩メダカに私の可愛いが通じない11巻』は、クリスマスデートの返事でモナの頑張りがようやく報われ、後半の女子だけのお泊まり会でヒロイン同士の表情も楽しめる巻でした。大きな決着ではなくても、メダカが説明し、モナが喜び、旭と朋の存在も消えない。その少しずつの前進がこの作品らしいです。次の巻で新しい動きが入りそうな締め方も含めて、11巻はかなり読みやすいつなぎの一冊でした。

