スポンサーリンク

北朝鮮のOS「Red Star」とは?Linuxベースの独自OSと監視機能を解説

Linux

北朝鮮には、政府や研究機関が開発した「Red Star OS(レッドスターOS)」があります。朝鮮語では「붉은별(プルグンビョル)」と呼ばれ、北朝鮮国内で使われるコンピューター向けのOSです。

Red Starの特徴は、国産ソフトウェアとしての独自性だけではありません。国内イントラネットとの結びつき、文書やメディアの流通を管理する仕組み、外部情報を制限する設計が組み込まれている点にあります。画面だけを見ると一般的なパソコンOSに見えますが、その役割は情報環境を国家の管理下に置くことにあります。

スポンサーリンク

Red Star OSはどんなOS?

Red Starは、北朝鮮の代表的なIT研究開発機関である朝鮮コンピューターセンター(KCC)などが開発したLinuxベースのOSです。2000年代に開発が進められ、2008年ごろに完成したとされます。外部に流出して解析されたバージョンとしては、Red Star 2.0と3.0がよく知られています。

基本的な考え方は、海外企業のOSに依存せず、北朝鮮向けの言語環境やネットワーク環境に合わせたコンピューター基盤を整えることです。文書作成、プレゼンテーション、音楽・動画の再生、メール、ゲームなど、日常的な作業に必要なソフトがまとめられています。

初期バージョンはWindowsに近いデスクトップ画面を採用していました。後のバージョンではmacOSを思わせる外観も確認されています。既存OSと似た操作感を取り入れることで、利用者が新しい環境へ移行しやすいように設計されていたと考えられます。

スポンサーリンク

Linuxを基盤にした「北朝鮮向け」の仕組み

Red Starの土台にはオープンソースのLinuxが使われています。Linuxは世界中で利用されている技術なので、基本的なOS機能や開発資産を活用しながら、北朝鮮独自のアプリケーションやセキュリティ機能を組み込めます。

代表的なソフトのひとつが「내나라(ネナラ)」というウェブブラウザーです。ネナラは北朝鮮国内のポータルや、国内向けの閉鎖型ネットワーク「光明網(クァンミョン)」を利用するためのブラウザーとして知られています。

光明網は、一般のインターネットと切り離された国内イントラネットです。利用できるサイトやサービスは限定され、国外のウェブサイトへ自由にアクセスする環境とは性格が異なります。Red Starは、この閉じたネットワーク環境を前提に動くOSとして位置付けられています。

Red Starと閉鎖型イントラネットをイメージしたオリジナルイラスト

そのため、Red Starをパソコンにインストールすれば、世界中のウェブを自由に閲覧できるという意味にはなりません。OS、国内ネットワーク、利用できる端末やアプリケーションが一体となって、情報の入口を限定しています。

スポンサーリンク

USBのファイルにも識別情報を付ける

Red Starが世界的に注目された理由のひとつが、ファイルを追跡する仕組みです。流出したバージョンを調べた研究者によると、Red StarはUSBメモリーなどを通じて扱われた文書、画像、音声、動画などに、端末を識別する情報を埋め込む機能を備えていました。

この仕組みは、ファイルに目に見えるスタンプを押すものではありません。ファイル内部に識別情報を加えるため、通常の利用者は変化に気づきにくい構造です。ファイルが別のパソコンへコピーされた場合、そのファイルがどの端末を経由したのかを調べる手がかりになります。

北朝鮮では、国外の映画や音楽、韓国コンテンツなどの流入が厳しく制限されています。USBメモリーやSDカードは情報を持ち運ぶ手段になるため、ファイルの流通経路を記録する機能は、著作権保護というよりも情報統制・監視のために重要な意味を持ちます。

Red Starのファイル追跡機能をイメージしたオリジナルイラスト

この設計を見ると、Red Starは利用者の自由を広げるためのOSというより、誰がどの情報を扱ったのかを把握しやすくするOSだと分かります。セキュリティ機能という言葉だけでは、実際の目的を捉えきれません。

スポンサーリンク

北朝鮮のパソコンはすべてRed Starなのか

Red Starは北朝鮮を代表するOSですが、国内のすべてのパソコンで使われているわけではありません。テレビ映像や公開情報からは、Windows XPなど海外製OSが使われている例も確認されています。互換性、既存設備、入手しやすさといった事情から、実際のコンピューター環境は一種類に統一されていないと見られます。

一方で、近年は政府機関などの端末を国内製品へ置き換える動きも報じられています。Red Star 4.0を基盤にした端末や、USBメモリー・SDカードの利用を制限する仕組みが紹介されたこともあります。機密情報の流出を防ぐ目的から、OSだけでなく端末の構成やデータの移動方法まで管理する方向に進んでいるようです。

北朝鮮で複数のOSが併存する状況をイメージしたオリジナルイラスト
スポンサーリンク

Red Starが示す北朝鮮のIT政策

Red Starを単なる「北朝鮮版Windows」として見ると、重要な点を見落とします。Linuxという国際的な技術を基盤にしながら、国内イントラネット、独自ブラウザー、識別情報の埋め込み、外部記録媒体の制限を組み合わせています。

そこから見えるのは、コンピューターを個人の情報収集や創作の道具としてだけでなく、国家が管理する情報環境の端末として設計する姿勢です。Red Starは技術的に最新かどうかだけで評価するより、OSそのものが情報統制の仕組みを担っている点に注目すると、その位置付けを理解しやすくなります。

北朝鮮のOSを知ることは、閉鎖された国家がどのようにネットワークとデジタルデータを扱っているのかを知ることでもあります。Red Starは、Linuxの柔軟性と、強いアクセス制限・監視機能が同居する、非常に特徴的なコンピューター環境です。

スポンサーリンク

まとめ

Red Star OSは、北朝鮮が開発したLinuxベースの国産OSです。国内イントラネット「光明網」と結びつき、文書作成などの基本ソフトを備えています。さらに、USBなどで移動するファイルへ識別情報を埋め込む仕組みが確認されており、情報流通を管理する役割も持っています。

現在の北朝鮮ではWindowsなども使われていると考えられますが、Red Starは国内IT基盤を自前で整え、デジタル情報を国家の管理下に置く象徴的な存在です。

error:
タイトルとURLをコピーしました