みいちゃんと山田さん 5巻は、離れてしまった二人が再び同じ家で暮らし始める巻です。みいちゃんは風俗の仕事へ追い込まれ、山田さんは母親から正論をぶつけられる。それぞれが別の形で傷ついたあと、二人の共同生活が始まります。
みいちゃんと山田さん 5巻のあらすじ
歌舞伎町のキャバクラ・エフェメールを辞め、突然姿を消したみいちゃん。DV彼氏・マオくんにお金を渡すため、より過酷な風俗嬢へと身を落としていた。一方、喪失感に苛まれる山田さんの前には実の母親が現れ、“親の愛”ゆえの正論パンチに心を蝕まれていく。肉親と彼氏、愛情と支配。歪な共生を断ち切れないふたりが、ひとつ屋根の下で肩を寄せ合って眠る。ふたり暮らしの幕が開ける――。
アマゾンから抜粋
みいちゃんを風俗へ追い込んだもの
5巻では、みいちゃんが風俗の仕事へ移った経緯がさらに見えてきます。マオに渡すお金のために、みいちゃんはより過酷な場所へ入っていく。必要とされたい気持ちを利用されても、それを自分が役に立っている証拠として受け取ってしまうところがつらいです。
そして、みいちゃんを風俗へ入れたのがキャバクラの店長だったことも明らかになります。4巻まで読んでいると、みいちゃんが自分で危険な場所へ進んだように見えていた部分が、実際には周囲の大人に押し流された結果でもあったとわかる。責任を本人だけに負わせられない構造が、はっきり見える展開でした。

山田さんの母親と、みいちゃんとの同居
山田さんの前に母親が現れ、親の愛情を理由にした正論をぶつけます。山田さんのためを思っているようで、実際には母親の理想から外れた娘を責めている。これまで山田さんが感情を抑え、相手の機嫌を先回りして読んできた背景が、母親との会話から見えてきました。

そんな母親を山田さんが追い出し、みいちゃんを家に招き入れます。二人の同居は、単純な救済ではありません。山田さんはみいちゃんに生活のルールを教えようとし、みいちゃんは悪気なく自分の価値観を相手にも求めてしまう。山田さんが「お母さん」のような立場になっていく危うさもあり、親子関係の反対側を見ているようで苦しくなりました。
二人にとっての短い夏休み
二人は寝坊をしながら出かけ、キティランドへ行き、花火を見ます。大きな事件を解決する時間ではなく、ただ一緒に遊び、同じ景色を見る時間です。みいちゃんが「過去に戻りたいなんて思わない。明日なんか来ないでほしい」と思うほど、二人でいる今が幸せだったことが伝わってきます。
だからこそ、物語の最初から知らされている未来を思い出すと、この穏やかな生活を素直に喜べません。山田さんはみいちゃんを教えようとするだけでなく、みいちゃんと暮らすことで自分の過去や母親との関係も見直していく。みいちゃんが山田さんを変え、山田さんもみいちゃんのそばで変わっていく関係が、5巻の中心でした。
同居には、みいちゃんが家の中でしてしまうことと、山田さんがそれを一つずつ伝え直す場面があります。山田さんには「普通ならわかる」と思えることでも、みいちゃんには経験として身についていない。その差を責めるのではなく教えようとする山田さんの根気は、これまでの二人の関係から生まれたものです。ただし、教える側と教えられる側が固定されるほど、二人の関係が親子のように変わってしまう危険もありました。
また、ムウちゃんの母親がみいちゃんを恨んでいることも、共同生活の外側に残る重さです。みいちゃんには相手を傷つける意図がなくても、相手の人生には取り返せない変化が起きている。みいちゃんと山田さんの部屋だけを見れば穏やかな暮らしでも、そこへ至るまでに傷ついた人がいることを巻は忘れさせません。
山田さんがキャバクラを辞め、髪を切る場面も印象に残ります。仕事を離れることは、みいちゃんと出会った場所から自分も離れることです。二人で暮らす決断は、みいちゃんを迎えるだけでなく、山田さん自身がこれまでの環境を断ち切る決断でもありました。
まとめ
みいちゃんと山田さん 5巻は、みいちゃんが風俗へ移った理由と、山田さんが母親から受けてきた支配が重なり、二人の同居へ進む巻です。山田さんはみいちゃんを助けたいと思い、みいちゃんは山田さんといる時間を幸せだと感じる。それでも、二人の関係が健全な共同生活として続くとは限りません。短い夏休みのような穏やかさの中に、互いの傷や押しつけが入り込んでいる巻でした。

