近年、ニュースやSNSを中心にゾンビたばこと呼ばれる危険ドラッグの存在が注目を集めています。使用者が突然けいれんを起こしたり、立ったまま動けなくなる様子が拡散され、不安を覚えた人も多いのではないでしょうか。
この通称ゾンビたばこには、エトミデートと呼ばれる国内未承認の医薬品成分が含まれています。エトミデートは本来、医療現場で麻酔導入に使われる成分ですが、薬物として乱用された場合には想定外の強い作用を引き起こします。
電子たばこで吸引できる形状で流通していることから、危険性が正しく認識されないまま使用される例も少なくありません。見た目は普通のリキッドでも、体への影響は深刻です。
本記事では、ゾンビたばことは何かという基本的な位置づけから、エトミデートという成分の正体、さらに薬物としてのリスクや国内で確認されている実態までを整理して解説します。
ゾンビたばことは何?エトミデートが注目される背景
ゾンビたばことは、近年日本国内で確認されている危険ドラッグの俗称です。主に電子たばこで吸引できるリキッド状で流通しており、使用者が突然体の動きを制御できなくなったり、けいれんを起こす様子がゾンビのように見えることから、この名称が使われるようになりました。正式な薬物名ではなく、報道やインターネット上で定着した呼び方です。
このゾンビたばこに含まれている成分として、エトミデートが検出されるケースが相次いでいます。エトミデートは医療用途を前提とした成分であり、一般向けに使用されることは想定されていません。そのため、薬物として吸引された場合の安全性は確立されておらず、強い危険性が指摘されています。
日本では、危険ドラッグの規制が強化される中で、従来の指定薬物とは異なる成分が使われる傾向があります。エトミデートもその一例で、法の網をすり抜ける形で流通し、結果としてゾンビたばこと呼ばれる新たな問題を生み出しました。見た目が電子たばこのリキッドであることから、薬物だと認識しにくい点も、乱用が広がる要因の一つです。
エトミデートの作用と薬物としての危険性
エトミデートは、本来医療現場で全身麻酔の導入時に使用される医薬品成分です(海外では)。主に意識を急速に低下させる作用を持ち、手術などの限られた環境下で、医師の管理のもと使用されることを前提としています。日本国内では未承認であり、一般に流通することは想定されていません。
この成分が薬物として問題視される理由は、作用の強さと使用条件の厳しさにあります。医療用途では投与量や投与方法が厳密に管理されますが、ゾンビたばことして吸引される場合、用量や体内への吸収量は制御できません。その結果、意識障害、強い眠気、筋肉のけいれんなど、予測不能な症状が引き起こされます。
特に報告が多いのが、体が硬直したり、自分の意思とは無関係に手足が動く症状です。これにより、立ったまま動けなくなったり、地面に倒れ込むケースも確認されています。これらの状態が外見上ゾンビのように見えることから、ゾンビたばこという呼称が広まりました。
また、エトミデートは中枢神経に作用するため、使用状況によっては呼吸が抑制される危険性も指摘されています。医療管理下であれば対処可能な作用でも、個人使用では重大な健康被害につながるおそれがあります。薬物としてのエトミデートは、安全性が担保されていない点が最大の問題です。
日本国内で確認されているゾンビたばこの実態
日本国内では、ゾンビたばこと呼ばれるエトミデート含有の危険ドラッグについて、複数の地域で使用者や乱用事例が確認されています。
プロ野球広島カープの羽月隆太郎選手もゾンビたばこで逮捕されました。

これらの事例では、電子たばこ型の器具やリキッドが押収され、その成分を分析した結果、エトミデートが検出されたと公表されています。外見が一般的な電子たばこ用リキッドとほとんど変わらないため、違法薬物としての認識が薄いまま使用されていた点が問題視されています。
警察による摘発も進んでおり、所持や使用が確認された人物が薬物関連で検挙される事例も出ています。エトミデートは国内未承認成分であることから、医薬品医療機器等法や危険ドラッグ関連法規に基づく対応が取られています。従来の指定薬物とは異なる成分であっても、人体への影響が確認された段階で厳しい取り締まりの対象となります。
こうした状況を受け、自治体や関係機関は注意喚起を強化しています。ゾンビたばこは一部の特殊な人だけの問題ではなく、誰でも誤って関わってしまう可能性がある薬物です。国内で実際に摘発例が出ているという事実を踏まえ、身近な危険として認識することが重要です。
まとめ
ゾンビたばこは、見た目が電子たばこに近いことから危険性が伝わりにくい一方で、実際にはエトミデートという国内未承認の医薬品成分を含む深刻な薬物問題です。使用者がけいれんや意識障害を起こす事例が国内でも確認されており、決して海外だけの話ではありません。
エトミデートは医療用途を前提とした成分であり、管理された環境以外で使用されることは想定されていません。その成分がリキッドとして吸引されることで、予測不能な身体反応や重大な健康被害を引き起こします。ゾンビたばこという名称のインパクトだけで済ませられる問題ではないことが分かります。
日本国内ではすでに摘発事例も出ており、関係機関による注意喚起が行われています。知らないうちに関わってしまうリスクを避けるためには、ゾンビたばこの正体やエトミデートの危険性を正しく理解することが重要です。身近に潜む薬物として、正確な情報を知ることが自分自身を守る第一歩になります。

