あらすじ
強い貴方が弱っているのが見たい!
組長の娘・理世は「ヨワラー」=「弱り」を愛でる性癖持ち。
彼女の世話係を任された若頭・切谷は、彼女に翻弄され続けている。
そんな理世から切谷にお願いがーー。
「私をオフ会に行かせてくれるのはあなたしかいないんです…」
理世をオフ会に連れていくため、切谷のヨワラー大作戦が始動する!
アマゾンから抜粋
『傷口と包帯』2巻は、1巻の終盤で始まったヨワラーのオフ会が本番を迎えます。理世は同じ性癖を持つ人たちと直接会いたい。しかし、組長の娘を一人で行かせるわけにはいかない。そこで切谷が護衛として同行することになります。
切谷の三徹が始まる
切谷はオフ会に向けて、理世から教わったアニメをひたすら履修します。ヨワラーの集まりに潜り込むため、普段の若頭としての仕事とは別方向の準備を重ねることになる。この時点でもうかなり気の毒ですが、理世にとっては真剣なお願いです。切谷が断りきれず、三徹までして付き合うところに、彼の面倒見のよさがよく出ています。

しかも、切谷がアニメ知識を身につけても、オフ会で自然に振る舞えるとは限りません。強面の極道が、理世の「ヨワラー」を理解している人間として振る舞おうとする。その無理のある擬態を、理世が横で細かく指導する構図が面白いです。

切谷は理世を守るために頑張っているのに、準備の段階からすでに理世のペースに引きずり込まれています。
オフ会で理世が見せる顔
実際に集まったメンバーの会話は、切谷が想像していた穏当な交流会ではありません。好きな「弱り」の話で盛り上がり、各自のこだわりが遠慮なく飛び出す。理世が普段ひとりで抱えていた性癖を、同じ言葉で話せる相手と一度に顔を合わせる。その場で理世が楽しそうに話す一方、集団になったことで話題の濃さも一気に上がります。

そこで切谷は、護衛として周囲を警戒しながら、会話の内容にはどんどん疲弊していく。理世が楽しそうにしているから完全には止められず、しかし納得もできない。この理世の楽しさと切谷の困惑が同じ場面に並ぶことで、オフ会が単なる新キャラ紹介で終わっていません。
2巻で特に好きなのは、理世が「ヨワラー」として突き抜けている一方で、切谷のことをただの鑑賞対象として扱いきれなくなっているところです。切谷が弱れば理世は喜ぶ。それでも、切谷が自分を守るために傷を負った場面では、理世の手つきや表情に別の心配が混ざる。本人がその違いを整理できているわけではないからこそ、切谷のほうが余計に戸惑います。
「好き」と「弱り」は同じではない
理世は切谷を性的な意味で見ているわけではない、と自分の中で線を引こうとします。けれど、切谷だけは他の人と同じ「弱り」の対象として片づけられない。切谷が理世にとって特別な相手になっていることは、理世の反応の違いから伝わってきます。
一方の切谷は、理世のヨワラーとしての視線には引いてしまうのに、理世が一人の女性として向ける視線には本気で困惑する。このズレが、2巻では1巻以上にラブコメの「ラブ」を押し出しています。本人たちは関係を進めようとしていないのに、理世の「癖」を追いかけているだけで、切谷の存在が特別扱いされていく。その自覚のなさがたまりません。
傷を隠す切谷と、見つける理世
オフ会の騒動のあと、切谷は自分の傷を理世に見せないようにします。弱っている姿を見せれば、理世がどう反応するか分かっているからです。ところが理世は、切谷の様子を見逃しません。切谷が隠そうとするほど、理世は「弱り」の気配を探し当ててしまう。

ここで理世が切谷の手当てをする場面は、いつものヨワラー的な興奮だけではありません。切谷を喜ばせるためでも、自分の癖を満たすためでもなく、傷ついた相手を手当てする行動として読める。もちろん理世の言動は相変わらず危ういのですが、切谷を放っておけない気持ちは確かに見えます。

まとめ
『傷口と包帯』2巻は、理世と切谷がヨワラーのオフ会へ踏み込む巻です。切谷の三徹による準備、オフ会での濃すぎる会話、護衛としての警戒と精神的な疲労、そして傷を隠そうとする切谷と手当てをする理世。笑える出来事が続く一方で、理世が切谷を特別な相手として見始めていることもはっきりしてきます。
「弱り」を愛でる性癖が中心なのに、切谷が弱るほど理世の気持ちが単純ではなくなっていく。2巻は、その矛盾を変顔とツッコミで押し切りながら、二人の関係に少しずつ別の名前を与え始める巻でした。

