麻雀を続けていると、攻撃型の方が良いのか、それとも守備型を貫いた方が安定するのか、迷う瞬間が必ず訪れます。リーチ判断ひとつで局面が変わるゲームだからこそ、押すべきか引くべきかは常に悩ましいテーマです。ネット麻雀でもリアルの卓でも、隣の打ち手の選択を見て、自分の判断に自信が揺れることもあります。
さらに最近では、上級者の配信やデータ分析による麻雀論が一般化し、攻守の基準がより明確になってきました。しかし、明確なセオリーがある一方で「頭では分かっているのに、実戦で迷ってしまう」「数値や理屈より、自分の性格に左右されてしまう」という葛藤もよく耳にします。セオリー通りか、自分の感覚か、その間で揺れ動く時間は、きっと多くの打ち手が経験しているはずです。
そして、攻撃型と守備型のどちらが正解かと言えば、必ずしもひとつに決まるものではありません。卓のルール、点棒状況、対戦相手、そして自分自身の性格や好み。判断を左右する要素は多く、画一的な答えに従うだけでは、かえって打ちにくくなる場面もあります。
本記事では、攻撃型・守備型という分類を改めて整理し、迷いが生まれる理由や、スタイル選択の視点を解説します。
昔は極端な守備型だった私の麻雀
麻雀を始めたばかりの頃、私はとにかく「振り込みたくない」という気持ちが強いタイプでした。東風荘を打っていた当時は、放銃率を下げることこそが上達の証だと思い込み、危険牌を少しでも感じた瞬間にすぐ降りる。テンパイしていても、少しでも怪しい気配を察知すればベタオリ。それを徹底していました。

結果として、数字上は確かに放銃率が下がり、8%を切るほどの極端な守備型になっていました。東風荘時代には6%台まで落ち込んだこともあります。しかし、その一方であがり率は明らかに低下し、連続で沈み続ける期間も増えていきました。負けが続くというより、「勝つチャンスを自分で逃している」ような感覚でした。
振り込みを恐れるあまり、好機で押せず、リーチをかける勇気も出ない。終盤でテンパイを逃すことが続くうちに、麻雀を楽しむ気持ちさえ薄れていきました。安全第一で打つことは間違いではないはずなのに、いつの間にか「負けない麻雀」が「勝てない麻雀」に変わっていたのです。
その頃から少しずつ、自分の打ち方に疑問を持つようになりました。読みの精度や技術が足りないというより、判断基準そのものが偏りすぎていたのではないか。そんなことを考えるようになり、視野を広げるために「攻撃型の麻雀」を勉強してみようと考え始めました。
攻撃型麻雀を試して分かったこと
守備型一辺倒の打ち方に限界を感じた私は、ある時期から思い切って「攻撃型麻雀」に挑戦してみました。きっかけは本屋で手に取った一冊の麻雀戦術書でした。タイトルはもう覚えていませんが、そこには「麻雀は押してなんぼ」「読みなんて当たらないから気にするな」といった、いわば真逆の思想が書かれていました。
内容を要約すると、「麻雀の牌は全部で34種類しかないのだから、怖がっていては勝てない」「愚形でも押せ、危険そうに見えても押せ」「当たる確率なんてたいしたことはない」というものでした。つまり、場況や相手の打ち筋を読むよりも、単純に確率の低さを根拠に押し切るという考え方です。
その理屈に半分納得しながら、半分は自分を変えたい気持ちで試してみました。実際にやってみると、確かにリーチ回数は増え、攻めのテンポも早くなりました。しかし結果は散々でした。リーチした瞬間に放銃することも多く、点棒が減るペースの方が早い。何よりもきつかったのは、押し返して振り込んだときのストレスです。
それまで「安全第一」で心を守っていた反動かもしれません。負けたこと以上に、普段なら降りていた局面で無理に押してロンと言われた瞬間の心理的ダメージが大きく、しばらく麻雀を打つ気力を失ってしまいました。結局、攻撃型を徹底した期間は長く続かず、「攻撃=積極」「守備=消極」という単純な二分では説明できない現実を痛感することになりました。
攻撃型と守備型の違いを整理する
攻撃型と守備型の違いは、実は精神面だけでなく、打牌判断の根本的な優先順位にあります。

攻撃型は、あがることを最優先に考えます。つまり、あがりに向かう力を重視し、手が整えば迷わずリーチをかけ、相手のリーチがあっても押し返す場面が多くなります。リスクを承知で、勝負を仕掛ける勇気と判断の早さが特徴です。放銃のリスクを背負う代わりに、あがり率やトップ率が上がる傾向があります。
一方で守備型は、失点を抑えることを最優先にします。危険牌を避け、序盤から安全牌を意識して持つことも多いです。相手のリーチに対しては無理をせず、ベタオリで局を流す判断をします。結果として放銃率は低くなりますが、あがり率も控えめになります。勝つよりも負けない打ち方を徹底するのが特徴です。
しかし実際の麻雀では、誰もが完全な攻撃型にも守備型にもなりきれません。リードしている時、点棒が苦しい時、相手の打ち筋が強い時など、状況によって最適な選択が変わります。多くの上級者は、「押し引きの基準を持ったバランス型」に近いスタイルを確立しています。
重要なのは、攻撃型も守備型もそれぞれ「強みと弱み」を理解し、自分がどの場面でどちらに寄るかを自覚することです。闇雲に押すのでも、怖がって引くのでもなく、自分の中に一本の判断軸を作ること。それが最終的に安定した麻雀へつながります。
麻雀で大事なのは「押すか引くか」ではなく基準の持ち方
攻撃型か守備型かという議論は、突き詰めると「どの場面で押すか、どの場面で引くか」という選択の問題に行き着きます。しかし本当に大切なのは、どちらの選択を取るかではなく、その判断を下す基準を自分の中に持っているかどうかです。
例えば、相手がリーチしているときに自分もテンパイした場面。ここで押すか引くかは、単純に性格の問題ではありません。リスクをどこまで許容できるか、点棒状況、巡目、待ちの形、残り枚数、場に見えている安全牌など、複数の要素を踏まえて決めるべきです。攻撃型でも、完全に無謀な押しを繰り返す人は少なく、守備型でも「ここは行ける」と判断すれば押すことがあります。
つまり、攻撃型と守備型の違いは結果の差ではなく、判断基準の位置の違いにあります。攻撃型は「リターンを重視する基準」、守備型は「リスクを重視する基準」で動く。両者の境目はその比重の置き方であり、どちらが正しいという単純な構図ではありません。
この「基準」を明確にすることは、自分の打ち筋を安定させるうえでとても大切です。毎局のように迷ってしまう人は、基準があいまいなまま感覚で選択していることが多いです。逆に、一定の判断ルールを自分の中に作ると、迷いが減り、結果として一貫した成績に結びつきます。
そしてもう一つ重要なのは、「その基準が自分の性格と噛み合っているか」です。リスクを負うのが苦手な人が攻撃型の基準を無理に採用すると、精神的に疲れやすくなります。反対に、勝負どころで躊躇して後悔する人は、守備型に偏りすぎている可能性があります。打ち筋の最適解は人によって違い、個々の感情や思考パターンと密接に関わっています。
自分に合ったスタイルで打つことの意味
麻雀を長く打っていると、上達したい気持ちと同じくらい、「自分の麻雀が分からなくなる」瞬間が訪れます。データやセオリーが重視される時代だからこそ、理屈通りに打ってもどこかしっくりこない。そんなときこそ、自分に合ったスタイルを意識することが大切です。

結局のところ、麻雀は「自分の性格とリズムに合った打ち方」でないと続きません。どれだけ強い理論でも、感情が追いつかなければ意味がない。勝ち負け以上に、自分が納得して打てるかどうかが大切です。負けても「この打ち方で良かった」と思えるようになると、麻雀が本当の意味で楽しくなります。
また、自分に合ったスタイルを持つことで、迷いが減り、長期的な安定につながります。攻めたいときに攻め、守りたいときに守る。そこに一貫した意志があると、ブレがなくなり、成績にも好影響が出てきます。スタイルとは単なる傾向ではなく、「自分の打牌に責任を持つ姿勢」でもあるのです。
無理に他人のスタイルを真似する必要はありません。自分の性格、勝負観、楽しみ方を理解したうえで、自然と身につくスタイルこそが、あなたにとって最も強く、そして長く続けられる麻雀になります。
まとめ:麻雀を楽しむための自分流スタイル論
本記事では、麻雀の攻撃型と守備型というスタイルを軸に、自分に合った打ち方を見つけるための考え方を紹介してきました。振り返ると、攻撃型は勝負を仕掛ける勇気と決断力を重視し、守備型はリスクを抑えて安定した成績を狙うスタイルです。どちらにも明確な強みと弱みがあり、どちらか一方が「正解」というわけではありません。
大切なのは、両者の特徴を理解したうえで「自分に合った基準を持つこと」です。押すか引くかという二択にとらわれず、状況や点棒、そして自分の性格を踏まえて判断する。それが、結果的に一貫性のある打ち方を作り上げます。
また、性格や考え方に合ったスタイルを選ぶことで、精神的な安定も得られます。攻撃型に無理に寄せればストレスが増し、守備型に偏りすぎれば消極的になりすぎる。麻雀を楽しみ続けるには、理論よりも「自分が気持ちよく打てるリズム」を大切にすることが一番です。
どんなスタイルであれ、最後に残るのは「自分らしく打った満足感」です。勝ち負けを超え、自分の基準で納得できる選択を積み重ねること。それが本当の意味での上達であり、長く麻雀を続ける秘訣だと思います。
これから麻雀を打つときは、「今の自分の選択は気持ちよく打てているか」を少し意識してみてください。きっとその答えが、あなたにとって最適なスタイルを教えてくれます。

