雨夜の月に登場する富田は、咲希たちと同じクラスにいる生徒の一人です。物語の初期では、奏音に対して否定的な態度を取る人物として登場し、クラス内でも目立つ立ち位置にいます。渡会や六嶋と行動を共にする場面が多く、集団の中で発言する役割を担っています。
富田は、奏音の自己紹介の場面で反発する側に回り、その後も奏音に対して距離を取る態度を見せます。一方で、咲希に対しては直接的な対立を起こすわけではなく、クラスメイトとして接している様子が描かれています。
この記事では、1巻から順に富田の行動を追いながら、どのような立場で登場し、物語の中でどのように関わっていくのかを整理していきます。まずは、1巻で描かれる富田の振る舞いから見ていきます。
1巻で見える富田の否定的な態度
雨夜の月1巻では、富田は咲希たちと同じクラスの生徒として登場します。奏音の自己紹介の場面で、富田グループは否定的な反応を示し、奏音に対して反発する側に立ちます。この場面では、富田が奏音に好意的でないことがはっきり分かります。
その後、富田は渡会や六嶋と行動を共にしながら、咲希に対して奏音の悪口を吹き込もうとします。

ただし、咲希はその話に乗らず、明確に拒絶する態度を取ります。富田はその反応に対して嫌悪感を示します。
1巻時点での富田は、奏音に対して距離を取り、否定的な立場を取るクラスメイトとして描かれています。この段階では、その理由や背景については語られず、行動としての態度のみが示されています。
4巻の合唱コンクールで目立ち始める富田
雨夜の月4巻では、合唱コンクールをきっかけに富田の存在感が強くなります。富田は指揮者に立候補し、クラスの中でも前に出る立場になります。
この時期の富田は、耳が聞こえない奏音に対して挑発的な言動を見せます。咲希に対して悪い笑顔を向けたり、渡会や六嶋に対して、奏音が慌てる様子を見たいと発言したりします。これらの言動から、富田が奏音を意識的に標的にしていることが分かります。

同時に、回想のような形で、富田と奏音が子どもの頃に面識があったことをうかがわせる場面が入ります。ただし、この時点では具体的な出来事までは語られません。

一方で、ピアノを担当することになった咲希に対しては、富田は口は悪いものの、比較的友好的な態度を取っています。
その後、なぜか富田は学校に来なくなります。
5巻で明かされる富田と奏音の過去
雨夜の月5巻では、奏音と咲希が補聴器専門店を訪れた際に、富田と再会します。その後、三人でカラオケに行き、富田が自分の状況について話します。

富田は、右耳を失調してしまったことを明かします。その経験を通して、耳が聞こえにくい状態で生活する大変さを実感し、これまでの自分の言動を振り返るようになります。この場面で、富田は奏音に対して謝罪します。

また、富田が奏音に対してわだかまりを抱いていた理由も語られます。子どもの頃のピアノ発表会で奏音に話しかけたものの、無視されたと感じていたことがきっかけでした。ただし、実際には奏音は発表に集中しており、聞こえていなかっただけだったことが分かります。奏音は、そのとき富田のピアノをすごいと感じていたことも伝えます。
このやり取りを通して、富田と奏音の間にあった誤解が解け、二人は和解します。
富田の変化
再登校時、富田は髪を切り、補聴器をつけた姿で登場します。自分の耳の状態を隠そうとせず、周囲にも分かる形で行動しています。

富田と奏音が比較的自然にやり取りしている様子が見られます。
文化祭では奏音が耳のことを隠そうとする場面がある一方で、富田は自分の状況をオープンにしており、その対比がはっきりします。

富田は、耳が聞こえにくい状態で生活している立場として、奏音の状況を理解している人物の一人になっています。文化祭の中で、富田が奏音と良い関係を築いていることが分かる場面が続きます。
奏音との距離感が1巻や4巻の頃とは明らかに変わっています。
まとめ
富田は、雨夜の月の序盤では、奏音に対して否定的な態度を取るクラスメイトとして登場します。自己紹介への反発や、咲希に奏音の悪口を吹き込もうとする行動から、意地悪な同級生という印象を受けやすい立ち位置でした。
ただし、1巻の時点でも、咲希に対する態度を見ていると、無差別に誰にでも強く当たるタイプではないことは分かります。咲希がはっきり拒絶した際も、強く対立することはなく、その反応に嫌悪感を示すに留まっていました。この点から、根本的に悪意だけで動いている人物ではないことは早い段階で示されていたと思います。
4巻の合唱コンクールでは、奏音に対して挑発的な言動を見せ、対立がはっきりしますが、5巻で補聴器専門店で再会したことで状況が変わります。富田自身が右耳を失調し、聞こえにくい状態で生活するようになったことで、奏音の立場を理解します。その場で過去の誤解が解け、奏音に謝罪し、和解します。
6巻の文化祭では、富田は補聴器を隠さずにつけて登場し、奏音とも良い関係を築いています。耳のハンデをオープンにする富田の姿勢は、耳が聞こえないことを隠そうとする奏音とは対照的で、奏音にとって一番状況を分かっている立場の人物になっています。
今後は、奏音にとっての良い友達ポジションに落ち着いていきそうなキャラクターです。

