雨夜の月7巻では、合唱コンクールへ向けて続いてきた学校生活の流れが落ち着き始め、人物同士の関係に自然な変化が見える巻でした。とくに文化祭での出来事や、合唱コンクール本番の描写が、これまで積み重ねられてきたエピソードとつながっていく印象があります。大きな事件が起きるというより、これまでの動きが少し整理されていくような構成で、読んでいて区切りを感じる部分がありました。
一方で、奏音の周囲だけでなく凛音にも変化が描かれており、家族とのやり取りが印象に残る場面もあります。日常の中で起きた小さな出来事が巻全体の空気を作っているような印象を受けました。
沙羅が凛音の家を訪れた場面と家族のやり取り
雨夜の月7巻では、凛音のクラスに転校してきた沙羅が、凛音の家を訪れる場面が描かれています。凛音はこれまで、耳が聞こえない奏音に遠慮して友達を家に呼ばないようにしていたことが示されており、沙羅を家に連れてくる場面は、これまでの行動とは異なる展開になっています。
家に着くと、沙羅は汗っかきの子でもピアノができるのかを凛音の母に質問します。凛音の母は工夫できる点を伝え、問題ないことを示す返答をしています。沙羅が今後教室に通い始める可能性があることが、このやり取りで示されています。
その後、凛音の母が凛音に対して謝る場面があります。凛音はその謝罪に対し、「謝る相手が違う、お姉ちゃんに言って」と返しますが、母は「間違っていない」と答えています。この短いやり取りの中で、凛音がこれまで抱えていた気持ちに触れる描写が含まれています。

沙羅との関係がここから始まること、凛音と家族の間でこれまで触れられてこなかった問題が一度言葉として出ることなど、登場人物同士の距離に変化が生まれる場面として扱われています。
雨夜の月の文化祭で描かれた奏音の迷いと「笑顔の奏音」への変化
雨夜の月7巻では、文化祭で接客当番に入っている奏音の様子が描かれています。奏音は、事前に富田から受け取っていた「耳が聞こえにくいです」と書かれたバッジを当日つけずに接客を始めます。
接客中、客とのやり取りがうまく伝わらない場面があります。奏音がメニューを確認しようとしても視認できず、指差しで伝えようとした内容も客に伝わりません。この状況を咲希が見つけ、代わりに対応する形で接客が続きます。奏音はそこで落ち込んだ様子を見せています。
それを助けたのが綾乃でした。

お互い謝ってしっかり和解。
その後、奏音はバッジをつけて接客に戻ります。描写として、奏音が笑顔で応対している様子が示されており、その変化が文化祭の中での印象的なポイントになっていました。
この文化祭の描写は、奏音が当日の中で行動を変えていく様子を、短い流れの中で提示する形になっています。
合唱コンクールで描かれた奏音の表情と周囲の反応
雨夜の月7巻では、これまで準備が続いてきた合唱コンクール本番の場面が描かれています。奏音は指揮者として舞台に立ち、合唱が始まると笑顔を見せながら指揮をしています。この「笑顔で指揮している姿」が、合唱コンクールの場面で最も印象的な描写でした。
奏音の表情に対して、客席にいる咲希や凛音、奏音の両親、そして綾乃が驚いた様子で描かれています。

合唱コンクールはこれまでの巻でも何度か言及されており、準備を重ねてきたイベントとして扱われていました。本番の描写では、奏音が舞台に立ち、笑顔で役割を果たす姿に焦点が当てられています。
この場面が描かれたことで、物語の中で続いていた合唱コンクール関連のエピソードが一段落した印象を与える構成になっていました。
まとめ
雨夜の月7巻では、これまで続いてきた人間関係や学校行事の流れが、一つのまとまりとして描かれた巻でした。それぞれの登場人物にとって意味を持つ場面が並び、合唱コンクールに向けて積み重ねられてきた描写がひとまずの形を迎えています。
文化祭では、奏音が接客で困る場面から、バッジをつけて笑顔で戻る流れが短い描写の中に収められています。特別な説明が付けられるわけではありませんが、行動の変化が絵として示されており、奏音にとっての一つの転機として扱われています。綾乃とのやり取りがそこで挟まれていることもあり、これまで距離があった関係が落ち着き始めている様子が分かります。
合唱コンクール本番では、奏音が笑顔で指揮している姿が中心に描かれ、周囲の人物がその変化を見つめているという構図が繰り返し提示されます。準備期間が長かったイベントだけに、本番の描写では大きなトラブルがなく、そのまま舞台が進んでいく流れになっていました。これらの描写の重なりによって、巻全体がひと区切りとしてまとまっている印象が残ります。

