ファイルを大量に扱っているとき、名前を手作業でひとつずつ変更するのは時間がかかりすぎるという悩みを抱えたことはありませんか?
たとえば、写真撮影の日付を名前に付けたい、資料ファイル名を統一したい、あるいは一部の文字列だけを置換したい――そうした細かなリネーム作業を効率化したい場面は、多くのユーザーにとって共通の課題です。
そこで役立つのが Flexible Renamer というリネーム専用ツールです。多彩な置換・連番・正規表現対応などを備え、Windows環境での一括変換に定番として支持されてきました。

本記事では、まずこの Flexible Renamer の機能と使い方、活用のコツを丁寧に解説します。
さらに、実務や趣味の用途に応じて他のリネームソフトにも視野を広げたい方のために、代替ツールも複数紹介します。
Flexible Renamerとは何か/基本機能
Scope:この章では、Flexible Renamer の概要と主な機能を整理して解説します。
Windows用の定番リネーム(ファイル名一括変更)ツールである Flexible Renamer は、Naru氏によって開発され、複数ファイル・フォルダの名前をまとめて操作できる機能を備えています
主な特徴として以下が挙げられます:
- 文字列置換・挿入・削除
特定の文字列を別の文字列に置き換えたり、前後に追加/削除する操作が可能です。 - 連番付与
希望の開始番号・桁数で連番を付けることができます。 - 日付・タイムスタンプの埋め込み
ファイルの作成日時・更新日時を名前に埋め込むパターンが扱えます。 - 正規表現対応
高度なパターンマッチングで、複雑な名前変更も可能です。 - Unicode対応
日本語など多言語の文字列も扱えます。 - フォルダ名も含む複数レベル処理
サブフォルダ内も含めて一括リネームしたり、リネーム後に別フォルダへ保存するオプションもあります。 - プレビューと安全機能
変更前後を確認できるプレビュー機能を備えており、誤操作による被害を軽減できます。
これらの機能により、単純な置換から複雑な命名規則まで対応できる柔軟性が魅力です。
Flexible Renamerの活用テクニック
以下に、具体的なシナリオとそれに応じた設定パターンを示します(例として日本語環境を想定)。
● 写真ファイルを「撮影日_連番」にリネーム
- 置換・挿入メソッドで、日付パターン
%Y%m%dを使う(例:20251012) - 連番メソッドで連番を付与(例:001, 002, …)
→ 出力例:20251012_001.jpg、20251012_002.jpg
これは、日付順の並びで管理したい場合に非常に有用です。
● 特定文字列を除去したい
例:ファイル名に含まれる IMG_ を削除
→ 置換ルールで “IMG_” → 何も無し に設定
プレビューで確認後に実行
● 拡張子を小文字化 or 統一化
例: .JPG → .jpg
→ 拡張子変換ルールを用いて小文字化を指定
● 特定パターンを抽出して名前変更
例: ブランク_123_説明.txt → 123_説明.txt
→ 正規表現で先頭の ブランク_ 部分を除去
● フォルダを自動生成して一括整理
興味深い使い方として、フォルダ構成を年月別や日別に自動生成しつつ、ファイルを振り分けるワークフローも一部実現できます(フォルダ生成機能を活用する例あり)
ヒント:
- プレビューは必ず見ること。重複や誤変換を防止できます。
- 処理は段階的に。まず小さなファイル群でテスト → 問題なければ処理対象を拡大
- 正規表現は強力だが扱いを誤ると意図外の置換が起こるため、基本を押さえておく
Flexible Renamerの注意点と改善策
1. 更新が止まっている可能性
Flexible Renamer は最新版が 8.4 で、更新があまり活発ではないという報告があります。
そのため、Windowsの将来バージョンとの互換性で動作しないリスクが残ります。
対策:
- 互換モードでの起動や管理者権限での実行を試す
- 代替ツールの選択肢を常に持っておく
2. 学習コスト(特に正規表現)
正規表現や複雑な設定を使うと強力だが、その分 設定ミス による誤変換リスクも高まります。
対策:
- 少量ファイルでのテスト実行
- 分かりやすい命名パターンから徐々に複雑化
- 事前にバックアップを取る
3. GUIの古さ・操作性の限界
インターフェースが古典的・シンプルなため、直感的操作に不慣れな人にはやや敷居が高いこともあります。
また、大容量ファイルや巨大フォルダ構成では処理に時間がかかることも考えられます。
対策:
- 重要なファイルは小分けに処理
- GUI操作に慣れるためのチュートリアルやガイドを参照
- 他ツールと使い分ける(後述)
4. 万一の失敗に備える
変換ミスや重複エラーが起きたとき、元に戻せないケースもあります。
対策:
- リネーム前にファイルのバックアップを保持
- 変更前/後を記録できるログを活用(ツールに記録機能があれば使う)
- 変換後チェックを必ず行う
おすすめ代替リネームツール5選と選び方
| ツール名 | 特長・メリット | 注意点 | 開発国・起源 | 日本語対応・日本語情報 |
|---|---|---|---|---|
| Advanced Renamer | Windows/mac対応。14種以上のメソッドで柔軟なリネームが可能。個人利用なら無料。 (advancedrenamer.com) | 商用利用はライセンスが必要。 | 🇩🇰 デンマーク | ✅ 日本語UIあり(25言語対応)/日本語レビュー記事も多い |
| ReNamer | PascalScript対応で、高度な正規表現やルール処理が可能。 (den4b.com) | 高機能ゆえ学習コストが高い。 | 🇺🇸 英語圏(開発者Den4b) | ⚠ 日本語化なしだが、解説ブログや掲示板情報あり |
| Bulk Rename Utility | 無料で強力。100項目超の設定が可能で柔軟性が高い。 (bulkrenameutility.co.uk) | UIが英語で分かりにくい。 | 🇬🇧 イギリス | ⚠ 英語UIのみ。日本語チュートリアルあり(有志サイト) |
| Microsoft PowerToys (PowerRename) | Microsoft純正。右クリックから呼び出せる手軽さが魅力。 (learn.microsoft.com) | 複雑なルール設定は苦手。 | 🇺🇸 アメリカ(Microsoft) | ✅ 完全日本語対応(Windows標準UI) |
| Rename Expert | EXIFやID3などメタデータ対応。プロファイル保存も便利。 (rename-expert.com) | 一部機能は有料。 | 🇩🇪 ドイツ | ⚠ 英語UI中心、日本語レビューは少数 |
選び方のポイント
- 5つすべて海外製ツールだが、そのうち Advanced Renamer と PowerRename は日本語対応。
- 特に Advanced Renamer は機能・安定性・翻訳品質のバランスが取れており、Flexible Renamerの最有力代替。
- PowerRename(Microsoft公式) は「軽く使いたい派」に最適。
- 高度なスクリプト処理が必要な場合は ReNamer や Rename Expert が上級者向け。
- 英語UIしかないツールも多いが、有志ブログやYouTubeで日本語解説が豊富。
まとめ
本記事では、Flexible Renamer を中心に、その機能・使い方・注意点までを解説しました。

