生成AI画像と法律の関係|逮捕されるケース・安全に利用する方法

SeaArt

近年、話題となっている「生成AI画像」。便利でクリエイティブな表現ができる一方で、「法律的に大丈夫なの?」「生成AIで作った画像でも逮捕されるの?」と不安に思う人も少なくありません。

実際に、日本国内外では 生成AIによる画像制作が原因で逮捕・摘発された事例 も報告されています。特に「児童ポルノに該当するもの」「著作権や肖像権を侵害するもの」「わいせつ表現の配布」といったケースは、AIで作ったものでも法律の網から逃れることはできません。

この記事では、

  • 生成AI画像と法律の関係
  • 逮捕や摘発につながる具体的なケース
  • 実際にあった国内外の事例
  • 安全に利用するための注意点

について、わかりやすく解説していきます。

「AIだから大丈夫」と思っていても、思わぬリスクでトラブルになる可能性があります。

生成AI画像は違法なのか?基本的な法律との関係

生成AI画像は違法なのか?基本的な法律との関係

生成AIで作られた画像は、「AIが勝手に生み出したものだから法律の対象外では?」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際にはAIが関与していても「最終的に生成した人間」が責任を負うのが法律の考え方です。そのため、生成AI画像も当然ながら法律の枠組みの中で扱われ、内容によっては違法行為として処罰される可能性があります。

日本の法律では、AIで作られたかどうかにかかわらず、以下のような観点から違法性が判断されます。

わいせつ物頒布等罪(刑法175条)

もっともよく話題に上がるのが、わいせつ物の取り扱いに関する法律です。刑法175条では、わいせつな表現物の頒布や公然陳列などを禁止しています。AIで生成したものであっても、性的に過度に露骨な画像を公開・販売した場合、刑事処罰の対象になることがあります。これは「AIだから大丈夫」という免責は一切なく、人が描いたイラストや写真と同じ基準で判断されます。

児童ポルノ禁止法

さらに厳しいのが児童ポルノ禁止法です。この法律は「実在の児童を対象とした性的な表現」に加え、2020年以降は「実在の児童に酷似した仮想的な表現」にも適用されると解釈されるケースがあります。つまり、AIによる「児童に見えるキャラクターの性的な画像」は、実写でなくても違法となる可能性が高いのです。実際に、国内でもAI生成の児童ポルノ画像を作成・頒布して逮捕された事例があります。

著作権法・肖像権

生成AIは大量のデータをもとに学習しているため、有名人の顔や人気キャラクターに酷似した画像が作られることもあります。これが著作権や肖像権の侵害とみなされれば、民事上の損害賠償や刑事事件に発展する可能性があります。特に芸能人やアイドルの顔を使った「ディープフェイクわいせつ動画」は、すでに逮捕者が出ている分野です。

名誉毀損やプライバシー侵害

AIで生成した画像を用いて、特定の個人を中傷したり、虚偽のスキャンダルをでっち上げるような行為も危険です。実在人物を連想させる画像をネットで公開すると、「名誉毀損」「プライバシー侵害」として訴えられるリスクがあります。AIを使っているからといって免責されることはなく、通常のSNSでの誹謗中傷と同じ扱いです。


このように、AIで作ったからといって特別扱いされることはなく、むしろ「新しい技術だからこそ法律的に厳しく見られる」傾向もあります。利用者は、 AI生成物も人が作った表現物と同じように責任を伴う という点を理解しておく必要があるでしょう。

生成AI画像で逮捕につながる具体的なケース

生成AI画像で逮捕につながる具体的なケース

日本国内でも問題となっている代表的なケースを紹介します。

児童ポルノに相当する画像の生成・所持

もっとも深刻で逮捕事例もあるのが「児童ポルノにあたるAI画像」の作成です。児童ポルノ禁止法は実在の児童を保護する目的で制定された法律ですが、近年は「AIやCGによる架空の児童のわいせつ画像」も規制対象とされる傾向にあります。

実際に国内でも、生成AIを用いて児童に見えるキャラクターのわいせつ画像を作り、それをネットで公開・販売して逮捕された例が報道されています。たとえ「実在の子どもを撮影したわけではない」としても、児童ポルノと同等に扱われるリスクが極めて高いのです。さらに、所持しているだけで処罰される可能性があるため、「作ったけど公開していない」という場合でも安心はできません

芸能人や一般人の顔を使ったディープフェイクわいせつ画像

次に問題となっているのが、ディープフェイク技術を利用した有名人や一般人のわいせつ画像です。AIは実在の人物の顔写真を学習し、わいせつなシーンに合成することが可能です。このような画像や動画を公開すれば、名誉毀損やわいせつ物公然陳列罪に問われる可能性があります。

日本でも、女優やアイドルの顔を合成したディープフェイク動画を配布し、逮捕された事例があります。被害者が芸能人の場合は肖像権の侵害、一般人の場合はプライバシーの侵害にもあたります。たとえ「ジョーク」や「ネタ」として作ったものであっても、相手が被害を訴えれば逮捕につながるリスクは非常に高いです。

わいせつ物の販売・頒布

生成AIで作られた過激なわいせつ画像を有料で販売する行為も違法となる可能性があります。刑法175条では「わいせつ物の頒布・販売」が禁止されており、これにはAI生成画像も含まれます。すでに海外では、AIを使ったポルノコンテンツを有料販売して逮捕されたケースがあり、日本国内でも同様の規制が強化されつつあります。


このように、生成AI画像はさまざまな場面で法律に抵触し得るため、利用者は「架空のものであっても逮捕される可能性がある」という点を強く認識しておく必要があります。軽い気持ちで作った画像が、取り返しのつかないトラブルにつながるケースは少なくありません。

AI画像を安全に利用するためのポイント

生成AI画像は、アイデア次第でクリエイティブな表現を大きく広げてくれる便利なツールです。しかし前章で紹介したように、使い方を誤ると法律違反となり、最悪の場合は逮捕に至るリスクすらあります。では、利用者が安心してAI画像を活用するには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。ここでは、具体的な注意点と安全に使うための心構えを整理します。

実在の人物をモデルにしない

もっとも重要なのは、実在の人物をモデルにした画像を生成しないことです。特に芸能人やインフルエンサーなど顔が知られている人物のわいせつ画像や虚偽情報を含む画像を生成すれば、肖像権侵害や名誉毀損で訴えられる可能性があります。さらに、一般人の写真を無断で利用すればプライバシー侵害にもあたり、法的トラブルになりやすいです。AIを使う際は「実在の人物を想起させる要素を排除する」ことを徹底しましょう。

児童や未成年を連想させる表現は避ける

次に気をつけるべきは、児童ポルノにあたる表現を避けることです。架空のキャラクターであっても「未成年を描写している」と見なされれば処罰対象になる可能性があります。年齢設定を曖昧にせず、成人として明確にわかるキャラクター表現を心がけることが大切です。AIのプロンプトで「大人」「成人」といったキーワードを明記しておくのも一つの対策になります。

公序良俗に反する内容は作らない

日本の法律では、刑法175条で「わいせつ物の頒布」が禁止されています。たとえAIで作った画像であっても、過度に性的な表現や過激すぎる暴力表現を拡散・販売すると違法とされる可能性があります。SNSやブログなど公共性の高い場にアップロードする際には「一般的な人が不快に思わないか」という視点を持つことが重要です。

商用利用では著作権・利用規約を確認する

生成AIサービスには、それぞれ独自の利用規約があります。例えば「アダルト目的での利用は禁止」としているサービスや、「商用利用は有料プランのみ可能」としているケースもあります。違反すればアカウント停止や損害賠償を求められることもあるため、利用前に必ず規約を確認するようにしましょう。さらに、既存の作品やキャラクターデザインを連想させる生成物は著作権侵害にあたる可能性があるため、オリジナル性を意識した使い方が求められます。

匿名性に頼らない

「どうせ匿名だから大丈夫」と考えるのは非常に危険です。警察は必要に応じてプロバイダに情報開示請求を行い、投稿者を特定することが可能です。実際に、匿名掲示板やSNSに違法画像をアップしたユーザーが逮捕された事例は数多くあります。匿名性に依存せず、常に「自分の行動は公開されても問題ないか」という意識を持つことが、健全な利用の第一歩です。

クリエイティブな活用を意識する

AI画像は本来、イラスト制作の補助やコンセプトアート、広告デザイン、教育用資料の作成など幅広い分野で役立ちます。危険な使い方を避け、安全な範囲で利用することで、社会的にも有益なツールとして発展していくはずです。利用者一人ひとりが「安全で創造的な使い方」を選択することが、AI画像の未来を明るくする大きな要素となります。

まとめ:生成AI画像と法律の関係を正しく理解しよう

まとめ:生成AI画像と法律の関係を正しく理解しよう

生成AIは便利で魅力的な技術ですが、使い方を誤ると逮捕につながるリスクがあることを忘れてはいけません。特に児童ポルノやわいせつ物の生成・公開、実在人物の権利侵害、詐欺やデマ画像の拡散といった行為は、確実に法律違反となり、刑事罰を受ける可能性があります。

一方で、創作や趣味の範囲でAIを活用し、オリジナルのアートやデザインを楽しむ分には、基本的に問題はありません。大切なのは、「どんな目的で作るか」、そして「公開してよい内容か」を冷静に判断することです。

タイトルとURLをコピーしました